企業相手に戦う主人公を描いた、実話をもとにした小説。
懲戒解雇 (文春文庫 た 72-6) | 高杉 良 |本 | 通販 | Amazon
-----------------------------
一気読み必至!
信念を貫く男の勇気溢れる物語
大手合成繊維企業の総合企画部の課長・森雄造は、中堅の有望株。川井常務の拡大強硬の経営方針を批判したことで常務の怒りを買う。折りしも送られてきた常務を批判する投書を仕組んだとの無実の罪を着せられ、懲戒解雇の憂き目に遭う。
「もし、俺がこんな理不尽な暴力に屈服して依願退職にしろ、懲戒解雇にしろ黙って受けていたら、両親に対して、妻子に対して、友人や恩師に対して顔向けできると思うか。唯々諾々と従っていたら、俺の人生に陰が出来てしまう……」
会社を相手に、たったひとりの闘いが始まる!
「いまでも彼の生き方に学ぶべきところはあると思う。人間万事塞翁が馬。人間到る処青山あり。どんな不条理な扱いを受けても、腐らずに再び一からやり直せば、新天地を切り開けるはずだ」――著者「あとがき」より
-----------------------------
かなり前に書かれた小説で、現在とは時代背景が異なるものの、実話をもとにしたと知ると色々感じるものがあるところ。
三菱油化の所澤氏という方が実際のモデル。
会社からの仕打ちにも負けずに立ち向かったところ、その周囲のサポートもさるところながら、最終的に主人公が出向という形に落ち着いたところも、会社という組織として興味深い。そして、能力がある人は、どのような環境においても、その才を見出すことができるのだな、と改めて感じることができる作品であった。