"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか?

国際問題、多様性などをディスカッション形式で考察していく本。

Amazon.co.jp: チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか? : 木下理仁: 本

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カカオ農園の貧しい子どもにチョコレートをあげるべきか? 
学校に通わずに働いている少女の作った洋服を着るべきか? 
転校してきた外国人の友達に校則違反だがらとピアスを外すように言うべきか?  
 
国際協力と多文化共生をテーマにした“読むワークショップ”。
本文に登場するさまざまなディスカッションを通じて、新しい自分を発見できる本。
●目次

第1章 “豊かさ”って、なんだ?

1 チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにチョコレートをあげるか?
2 親しくなったストリート・チルドレンの頼みを聞き入れるべきか?
3 学校に行かずに働いている少女が作った服を着るか?
4 貧しい村を発展させるために水道・電気・道路のうちどれを選ぶか?

第2章 “ともに生きる”って、なんだ?
5 ブラジルから来た転校生のエレナに校則違反だからと耳のピアスを外させるべきか?
6 災害にあった外国人のために避難所の貼り紙をどう書き直すか?
7 フィリピンから来た小学生の愛子さんをきみはどうやって助けるか?

第3章 出会うことに意味がある
ルワンダで義足を作る ルダシングワ真美さん
外国ルーツの子どもたちをサポートする 出口雅子さん
地域でフェアトレードを進める 磯野昌子さん
シエラレオネの子どもたちの教育を支援する 下里夢美さん

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特に明確な回答を提供するものではなく、読者自身に考えさせることに重きをおいており、おそらくは学生向けの本だと思うが、大人が読んでも面白いとは思う。

本作の表題の質問について、様々な意見が紹介されているが、末尾にあるインタビューの「あげるあげない以前に、かわいそうという意識自体が馬鹿にしている」といった考えは自分に近そう(一方で、アフリカは成長しており、そもそもこのような課題は減少しているということはあるだろう)。

 

この手の課題は複雑な問題が多いが、この本の序章に記載されているように、「自分ごととして捉えるのはとても難しいが、できるだけ想像力を働かせて、相手が感じているであろうことを少しでも感じとる」ことが大切であり、想像力を働かせるために様々な勉強、体験が必要なのだろうと。そして、他者との間では「色々な考え方がある」ということに行くつくのだろうが、自分としての考え、価値観というのは持っていたいとお思う。

自分の知らないものには拒否反応を示しがちだが、知ること、理解することで少しでも乗り越えていくというのは、この本のとおりだと感じるところ。