"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)望み

息子が失踪している中、殺人犯か被害者で揺れる家族を描いた小説。

Amazon.co.jp: 望み (角川文庫) : 雫井 脩介: 本

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息子は殺人犯か被害者か――。究極の一気読みミステリ。

年頃の息子と娘を育てながら平穏に暮らしていた石川一登・貴代美夫妻。9月のある週末、息子の規士が帰宅せず連絡が途絶えてしまう。警察に相談した矢先、規士の友人が殺害されたと聞き、一登は胸騒ぎを覚える。逃走中の少年は二人だが、行方不明者は三人。息子は犯人か、それとも……。規士の無実を望む一登と、犯人でも生きていて欲しいと願う貴代美。揺れ動く父と母の思い――。心に深く突き刺さる衝撃のサスペンスミステリー。

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この手の小説は何かとハッピーエンド的になるのかと想像していたが、結末は全くそういうものではなかった。何か読者に推理をさせるようなミステリーというよりは、家族の心情を描いた小説である。

その家族の心情を丁寧に描いているところがこの本の肝だと思う。

私の周囲に犯罪を経験した者はいないが、仮にそのような者がいた場合、自分はどのように感じるのか、また、どのような社会の立場になるのか、というのも少し想像させるような小説であり、家族の身を案じる姿と第三者からの目線、自分の社会的な目線などの両方を考えてしまうところである。