"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)世界をめぐる動物園・水族館コンサルタントの想定外な日々

動物園・水族館コンサルタントの著者がその仕事や役割などを記載した一冊。

世界をめぐる動物園・水族館コンサルタントの想定外な日々 | 田井 基文 |本 | 通販 | Amazon

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高級ステーキ肉が餌!?
ラッコが見られなくなる?
生き物はどこからつれてくるの?


プロジェクトはいつも想定外、仕事は種種雑多。
日本でただ一人の動物園・水族館コンサルタントが、その知られざる日常、世界中で出会った生き物、命を支える人たちについて綴ったお仕事エッセイ。
これまで1,000以上の施設をめぐった著者おすすめの動物園・水族館も掲載!

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動物園・水族館コンサルタントとは?、と思い、読んでみた一冊。

動物園や水族館の問題を引き受けるもので、一般的なコンサルタントよりも踏み込んでいる印象。

その役割などは本書に譲るとして、最終章の最後、特に「動物園・水族館は本当に必要なのか」というパートは参考になった。

この点はたまに話題になる論点であり、たまに動物園に行く自分にとっても漠然と感じていたところ。

世界動物園水族館協会では、目指す役割として「種の保存」、「教育・環境教育」、「調査・研究」、「レクリエーション」が挙げられているとのこと。著者は動物園や水族館が大事にすることとして教育をあげており、この点は同感。

生き物のあり方や生き方などを見て学ぶためには、野生の場に行くことは困難であり、多くの場合、現実的には動物園・水族館を通してしか難しい。ネットや動画、書籍でも学ぶことは多いが、百聞は一見にしかず。AIの発展云々とは言われているが、このような部分はまだ現実の目線には遠く及ばないだろう。

確かにそのために動物園で飼育されている動物の気持ちを想像するとなんとも言えない気分になるが、著者曰く、本当に動物園・水族館の生き物が可哀そうなのかは、人間は想像しかできず、最終的には動物自身しか分からない。

当然、現在の動物園・水族館の課題はあるだろうし、改善に向けた取組みは進められるべきだろうが、自分の将来の世代にも動物園や水族館を通じて、色々学ぶ機会を設けてあげたいというのが個人的な意見であるところ。

そして、著者は家畜にも言及しており、家畜はもっとフォーカスがあてられるべき存在とのこと。従前より人間とともに暮らしてきたものであり、ここもそのとおりであろう。