"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)おいしいごはんが食べられますように

芥川賞を受賞した作品。

Amazon.co.jp: おいしいごはんが食べられますように : 高瀬 隼子: 本

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第167回芥川賞受賞!

「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。

職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、仕事ができてがんばり屋の押尾。
ままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描く傑作。

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表紙とタイトルを見る限りは、ポップというか、明るい小説をイメージしていたが、何も情報なしに読んだところ、非常に暗いストーリーというか、読み終わって爽快感とは異なる印象。

書評にあるとおり、正に微妙な人間関係。主人公と思しき男は、少し適当すぎではないかとも思う。個人的には考え方も含め、男に共感はできなかったが、自分とは異なる感覚に興味深くはあった。

「できる人に仕事が偏ってしまう」、「腫れ物に触るような人」というのは、特に現代に目立つものであり、その辺の扱いは非常に難しい。本作品でもそのようなテーマが描かれているが、絶妙に「食べること」と絡めてくる。

結局、どのようなストーリーだったのか、改めて考えると説明が難しい。単なる、ちょっとした職場のいざこざ的な感じで総括することも可能だろうが、その中での各人の心情に食事が絡められた、重厚な小説と感じた

 

おいしいごはんが食べられますように