"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)教誨

死刑囚の身柄引受人に指名された女性が、死刑囚の真相などに触れていく小説。

教誨 | 柚月 裕子 |本 | 通販 | Amazon

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女性死刑囚の心に迫る本格的長編犯罪小説!

幼女二人を殺害した女性死刑囚が最期に遺した言葉――
「約束は守ったよ、褒めて」

吉沢香純と母の静江は、遠縁の死刑囚三原響子から身柄引受人に指名され、刑の執行後に東京拘置所で遺骨と遺品を受け取った。響子は十年前、我が子も含む女児二人を殺めたとされた。香純は、響子の遺骨を三原家の墓におさめてもらうため、菩提寺がある青森県相野町を単身訪れる。香純は、響子が最期に遺した言葉の真意を探るため、事件を知る関係者と面会を重ねてゆく。

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「本格的長編犯罪小説」とあるが、犯罪小説という点は結構疑問に思う。少なくともミステリーとか、殺人犯を暴くとか、そういうジャンルではない印象。

ネットでも考察されているとおり、秋田県で発生した児童連続殺人事件がモデルになっているよう。当時は主意書も出されたり、社会問題になっていた。後半になってモデルがあることに薄っすらと気付いたというか、思い出した。

秋田県警本部の連続児童殺害事件への対応に関する質問主意書 (shugiin.go.jp)

一個人としては、中盤に若干ストーリーの展開に停滞している感を受けてしまったところが、少し気になった。とはいえ、哀しさ、寂しさという点は十分に伝わってくるし、親の立場である死刑囚の心情を含め丁寧に描写されている。その点は著者の腕が見せられているところだと思う。