"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)夜と霧の隅で

5編の短編からなる、北杜夫氏の初期作品。

本のうち、半分は表題の芥川賞の受賞作。

--------------------

もう一つのアウシュヴィッツ――「安死術」。
ナチスの指令に抵抗する精神科医たちの苦悩と苦闘。芥川賞受賞作を含む、初期傑作5編。


第二次大戦末期、ナチスは不治の精神病者に安死術を施すことを決定した。その指令に抵抗して、不治の宣告から患者を救おうと、あらゆる治療を試み、ついに絶望的な脳手術まで行う精神科医たちの苦悩苦闘を描き、極限状況における人間の不安、矛盾を追究した芥川賞受賞の表題作。他に「岩尾根にて」「羽蟻のいる丘」等、透明な論理と香気を帯びた抒情が美しく融合した初期作品、全5編。

--------------------

いずれも味のある作品であったが、やはり表題作の印象が強かった。

内容も重いものであり、また、現在と時代背景なども異なるため、しっかりと読む必要があった。

(その他の作品については、少し前の作品ということ、また、少し短めの短編ということで、個人的な解釈などが自信がなく、ネットでほかの方の感想も読んだ。)

私の読んだ本は令和3年9月20日「71刷」。

昭和38年7月31日発行ということを踏まえると、1960年代の本を現代でも読むことができるのは改めて本の価値、意義を感じる。