"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)コンビニの闇

コンビニやフランチャイズ問題に関する研究を行っている著者による新書。

コンビニの闇 (ワニブックスPLUS新書) | 木村 義和 |本 | 通販 | Amazon

-----------------------------

毎年まるで風物詩のように問題となる季節商品の大量廃棄
終わりの見えない加盟店オーナーの労働
利益が上げると同一チェーンが歩ける距離に出店――

利用する私たちにとっては近くにあるととてもありがたい存在のコンビニですが、
便利さの一方でお店を経営するオーナーたちの中には、親会社からの理不尽な
要求に苦しんでいる人が多くいることも事実です。
そんなコンビニ経営の実態を、コンビニの労働問題のパイオニア
徹底調査し、その暗部を炙り出す一冊です。

-----------------------------

昔ではあるが、コンビニでアルバイトをしたことがあるが、確かにオーナーにとって必ずしもよい環境ではないというのは肌身でも感じていた。当時からコンビニのバイトは簡単という風潮があったが、実際はやることが多く難しかったし、変な客も多いなど、未経験者が思い描くほど楽ではない印象。

自分のバイトをしていたコンビニも廃棄が多かったし、廃棄が多い方が本部が儲かるという仕組みは疑問に思っていた。もっと言えば、スーパーバイザー的な人がオーナーがいない中でも勝手に発注している姿なども見ていた。本部とオーナー(その間のスーパーバイザー含め、)利益が相反している構図かと。

本書では、廃棄の問題やドミナント戦略、オーナーの労働環境など様々な問題について整理し、考察がなされている。コンビニの商品原価はスーパーの市価よりも高いものがあるということは知らなかったし、政府の報告書でコンビニが「社会インフラ」とされたことも知らなかった。コンビニまでインフラにするのは、確かに労働者側からすると疑問ではある。

紙面の都合などだろうが、個人的には断定的な表現などが散見されるところが気になった(おそらく、書ききれないエビデンスなどがあるのだろうが)。本部とオーナーとの間の記述が多いが、利用者側である顧客も重要だと感じた。