"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)アフターダーク

深夜12時前から朝7時前までの一晩において、登場人物のそれぞれが経験することをベースに記載された小説。

Amazon.co.jp: アフターダーク (講談社文庫) 電子書籍: 村上春樹: Kindleストア

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「エリは今、眠っているのよ」とマリは打ち明けるように言う。「とても深く」「みんなもう眠ってるよ、今の時間は」「そうじゃなくて」とマリは言う。「あの人は目を覚まそうとしないの」真夜中から空が白むまでのあいだ、どこかでひっそりと深淵が口を開ける。4人の男女はそれぞれの場所で、夜の闇のいちばん深い部分をくぐり抜ける。村上春樹の転換点を示す長編小説。

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「after-dark 日没後の、夜の」。

明確にエンディングが記載されたものではなく、また各描写についても解釈が分かれるというよりも、解釈が難しいように思った。

私も筆者が思っている解釈ができたかは、全く自信がない。

↓のようなレポートもある模様。

jbg069-05.pdf (komazawa-u.ac.jp)

 

このような点も含め、村上春樹氏らしいのかもしれない。

ところどころのセリフも筆者らしさが出ているように感じた。

「たくさん歩いて、ゆっくり水を飲めばいい」のではなく、「ゆっくり歩いて、たくさん水を飲む」というセリフ、「人間とは記憶を燃料にして生きていくもの。その記憶が現実的に大事かどうかはどうでもよい。新聞広告だろうが、哲学書だろうが、一万円札だろうが、火にくべるときは全て紙切れ。それと同じで大事な記憶も、それほど大事ではない記憶も、全然役に立たない記憶も、みんな分け隔てなくただの燃料」などは特に印象に残った。