"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)学校弁護士 スクールロイヤーが見た教育現場

弁護士であるとともに、教職としての経験を持つ筆者が主にスクールロイヤーという目線で記載した本。

学校弁護士 スクールロイヤーが見た教育現場 (角川新書) | 神内 聡 |本 | 通販 | Amazon

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いじめ、ブラック校則、教師の長時間労働……なぜ違法が横行するのか?

第一章 スクールロイヤーは救世主か
第二章 いじめ ―予防は困難だが適切な解決の助言役に
第三章 虐待 ―弁護士の連携で防げる可能性は高い
第四章 不登校 ―多様な背景を見極め、調整役に
第五章 校則、そして懲戒処分 ―スクールロイヤーの腕の見せ所
第六章 保護者対応 ―弁護士会の見解は真っ二つ
第七章 体罰 ―現実的な対案を提示できなければなくならない
第八章 部活動 ―白黒つける法律では判断が難しい
第九章 学校事故 ―子どもと教師を守るために
第十章 教師の長時間労働 ―原因はたった二つ

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個人的にスクールロイヤーという役割は知見がなかったので参考になった。

本書でも触れられているとおり、スクールロイヤーとは学校で生じる様々な問題について、法的な立場から助言・アドバイスをすること。

確かに必要な役割のように思うが、大事なのが「法的」、「助言・アドバイス」という点。

「法的」という点では、当然に法令諸規則に基づくアドバイスをするもので、そもそものルールが現代の教育現場の実態と乖離している点があるのではないかということ。

また、「助言・アドバイス」のとおり、最終的に解決を図る主体は教師ということになってくる。

 

個人的に教育現場に精通しているわけではないが、自分としては何でも教師に役割や責任を負担させる反面、他の職業と比べて労働条件・環境がイマイチと感じており、本書でもその部分は納得できたところである。

そして、ニュースや世間の論調を見ても「教師」という大きな一括りでとらえているという点も課題だと思うし、その点も丁寧に考察されているように感じた。

全般として、教育現場の課題などは納得できる反面、一読した限りでは「スクールロイヤー」の有用性や価値などは、強くは伝わってこなかったようにも思った。