"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)農業消滅: 農政の失敗がまねく国家存亡の危機

各所で日本の農業などについて言及しており、農業経済学が専門の著者が書いた新書。

Amazon.co.jp: 農業消滅: 農政の失敗がまねく国家存亡の危機 (979;979) (平凡社新書 979) : 鈴木 宣弘: 本

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徹底した規制緩和で、食料関連の市場規模はこの30年で1・5倍に膨らむ一方、食料自給率は38%まで低下。農家の総収入は13・5兆円から10・5兆円へと減少し、低賃金に、農業従事者の高齢化と慢性的な担い手不足もあいまって、?農業消滅?が現実のものになろうとしている。人口増加による食料需要の増大や気候変動による生産量の減少で、世界的に食料の価格が高騰し、輸出制限が懸念されるなか、日本は食の安全保障を確立することができるのか。農政の実態を明かし、私たちの未来を守るための展望を論じる。

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食料自給率や食の安全などに関する問題については、確かに重要な問題の反面、個人で気にしすぎると食べるものがなくなってしまう。なかなか個人では解消が難しい論点。

本書では、日本の食の問題について多角的に述べられており、勉強になる部分が多い。ただ、個人的にはこの分野に知見があるわけではないので、本書の多くで伏字・匿名化している部分が多く、理解が進みにくい部分もあった。

おそらく多方面に配慮した結果だと思うが、素直に企業名などを記載してもらった方が、読者目線のみを切り取ると分かりやすいようにも思う。

また、巻末の付録で「本音の政治・行政用語の変換表」というものがあり、確かに的を得ている部分が多いが、ただ単に政府を批判している感があり、本文の説得力にも影響するため、個人的にはなくてもよかったのでは、という感想を持った。