赤川次郎作の今年出版された小説。
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殺人犯はここにいる! 声なき目撃者と刑事が暴く、邪悪な政治家の罪と罰。
大学受験の朝、駅で射殺事件を目撃しながら通報を怠った麻紀。やがて親友の恋人として再び姿を現した犯人は職業的殺人者だった——。一方、事件を追う刑事のことみは現役大臣の秘書と交際するうち、大臣の特殊な性癖と周囲の不審な事件を知り、密かに調べを進める。殺人の構図と人間の暗部が読者を打ちのめす傑作長篇。
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久々に著者の作品を読んだが、開いた瞬間に上下二段の文章構成が、久々というか、懐かしいというか、不思議な気持ちになった。
ストーリーとしては、疾走感ある印象でラストまで一直線に進んでいくような印象を受けた。登場人物が変わる場面が多いが、特に違和感なくスムーズに読むことができる。
ただ、「読者を打ちのめす」という観点では疑問に思った。
政治家を悪に仕立てるストーリーがさもありなん、という点は割り引いても、ラスト付近の展開は?が複数頭の中に出てきた。内容が分からないという趣旨ではないが、若干結末が軽い印象を受けた。あるいは、自分の読解力か作者の布石回収などが読み切れていないが。