"ゆりかごの歌"を聴きながら

何年、何十年経ってから、何をしていたか見返すための記録

(読書記録)僕らのごはんは明日で待ってる

高校から大学、社会人数年目までの恋物語

僕らのごはんは明日で待ってる (幻冬舎文庫) | 瀬尾 まいこ |本 | 通販 | Amazon

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兄の死以来、人が死ぬ小説ばかりを読んで過ごす亮太。けれど高校最後の体育祭をきっかけに付き合い始めた天真爛漫な小春と過ごすうち、亮太の時間が動きはじめる。やがて家族となった二人。毎日一緒に美味しいごはんを食べ、幸せな未来を思い描いた矢先、小春の身に異変が。「神様は乗り越えられる試練しか与えない」亮太は小春を励ますが……。

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全4話で構成され、高校時代が1話、大学時代が2話、社会人になったからの話が1話となっている。

3話の大学時代の話は、主人公が結構ひどい奴だなと思った。

1話から3話は(十分面白いが)、何となく想像がつく範囲で、4話が書評にもある「神様は・・・」に関わるところで、3話は4話を描くための一種の布石のようにも思われる。

特に何かどんでん返し的な話ではなく、期待を裏切るようなストーリーでもないが、普通の男女の恋愛を通じて、彼らの「家族とは」、「幸せとは」というところに触れているように感じた。

そして、そのようなある意味、普通の話であるにもかかわらず、魅力的な小説になっているのは主人公と彼女の少し斜に構えたやり取りなどにあるように思われる。

ラストの「明日のご飯はどれをかけようか楽しみになるね」というセリフは印象だった。