抽象化志向の重要性を含め、正に具体と抽象について解説した本。
具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ | 細谷 功 |本 | 通販 | Amazon
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永遠にかみ合わない議論、罵(ののし)り合う人と人。
その根底にあるのは「具体=わかりやすさ」の弊害と、「抽象=知性」の危機。
動物にはない人間の知性を支える頭脳的活動を「具体」と「抽象」という視点から読み解きます。
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本書でも記述されているとおり、一般的には具体的なものが分かりやすく、抽象的なものは分かりにくい、といったように、抽象はネガティブなものに捉えられるシーンが多い。
他方で、日常生活でも抽象化を用いたコミュニケーションがなされており、全てを具体化するのは難しい。
また、そもそも何が具体で、何が抽象かは人や場面によって異なる。自分が具体と認識していることが、立場が変わると抽象に留まることもある。
本書では「おにぎり」は具体か抽象か、という例示がなされているが、これもケースバイケース。
人とのコミュニケーション、価値観にも具体と抽象は大きく影響するだろう。
末尾にも記載されているとおり、具体を追求するのであれば国語も数学も一般教養も不要であり、エサをとる訓練をすれば本来はよい。
「下から上は見えない」、「具体化だけでは本末転倒が発生しやすい」、「具体化により自由度が下がる」など、日常に示唆に富んだ内容になっており勉強になった。